2016年度キネマ旬報ベスト・テン1位に片渕須直監督『この世界の片隅に』が輝く

この世界の片隅に

この世界の片隅に

映画『この世界の片隅に』より

映画雑誌「キネマ旬報」を出版するキネマ旬報社が選出する「2016年 第90回キネマ旬報ベスト・テン」の受賞結果が発表され、片渕須直監督のアニメーション映画『この世界の片隅に』が1位に輝いた。片渕須直監督は監督賞も受賞した。アニメーション作品が第1位に選出されるのは1988年の『となりのトトロ』(宮崎駿監督)以来となる快挙。
2位には庵野秀明の特撮映画『シン・ゴジラ』。3位は深田晃司監督の『淵に立つ』。

外国映画ベスト・テンの1位はクリント・イーストウッド監督の『ハドソン川の奇跡』だった。クリント・イーストウッド監督作品が1位を獲得するのは8回目。

トップ・テンおよび個人賞受賞は以下の通り。

🎬日本映画ベスト・テン
1位『この世界の片隅に』(片渕須直監督)
2位『シン・ゴジラ』(庵野秀明監督)
3位『淵に立つ』(深田晃司監督)
4位『ディストラクション・ベイビーズ』(真利子哲也監督)
5位『永い言い訳』(西川美和監督)
6位『リップヴァンウィンクルの花嫁』(岩井俊二監督)
7位『湯を沸かすほどの熱い愛』(中野量太監督)
8位『クリーピー 偽りの隣人』(黒沢清監督)
9位『オーバー・フェンス』(山下敦弘監督)
10位『怒り』(李相日監督)

🎬外国映画ベスト・テン
1位『ハドソン川の奇跡』(クリント・イーストウッド監督)
2位『キャロル』(トッド・ヘインズ監督)
3位『ブリッジ・オブ・スパイ』(スティーヴン・スピルバーグ監督)
4位『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(ジェイ・ローチ監督)
5位『山河ノスタルジア』(ジャ・ジャンクー監督)
6位『サウルの息子』(ネメシュ・ラースロー監督)
7位『スポットライト 世紀のスクープ』(トム・マッカーシー監督)
8位『イレブン・ミニッツ』(イエジー・スコリモフスキ監督)
9位『ブルックリン』(ジョン・クローリー監督)
10位『ルーム』(レニー・アブラハムソン監督)

🎬個人賞
主演女優賞:宮沢りえ
主演男優賞:柳楽優弥
助演女優賞:杉咲花
助演男優賞:竹原ピストル
新人女優賞:小松菜奈
新人男優賞:村上虹郎
監督賞:片渕須直
脚本賞:庵野秀明
外国映画監督賞:クリント・イーストウッド

🎬文化映画ベスト・テン
1位『ふたりの桃源郷』(佐々木聰監督)
2位『あるアトリエの100年』(山崎欽毅監督)
3位『五島のトラさん』(大浦勝監督)
4位『表現に力ありや ―『水俣』プロデューサー、語る―』(井上実/片岡希監督)
5位『クワイ河に虹をかけた男』(満田康弘監督)
6位『鍛金 ―玉川宣夫のわざ―』(有泉寧監督)
7位『さとにきたらええやん』(重江良樹監督)
8位『名塩雁皮紙 ~谷野剛惟のわざ~』(黒崎洋一監督)
9位『氷の花火 山口小夜子』(松本貴子監督)
10位『不思議なクニの憲法』(松井久子監督)

『この世界の片隅に』は、こうの史代によるコミック作品を映画化した作品。クラウドファンディングで製作費を調達し、2016年11月の公開時には全国64館という小規模公開だったがロングヒットを続け、2017年に入っても公開規模を拡大している。太平洋戦争時の広島県呉市を主な舞台とし、戦時下の日常生活や、激しい空襲によって徐々に日常が壊れる様を独特の優しいまなざしで描き出し、口コミでその評判が広まっている。

片渕須直監督は1960年生まれの56歳。宮崎駿監督の『魔女の宅急便』(1989)などの制作に関わったのち、『アリーテ姫』(2001)、『マイマイ新子と千年の魔法』(2009)などのアニメーション作品を監督した。

『この世界の片隅に』予告編

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関連リンク
2016年 第90回キネマ旬報ベスト・テン

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