猛烈な圧力を感じた李相日監督『怒り』【管理人のグダグダ映画感想文】

怒り
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怒り

公式サイトより)

今後どうなるかわかりませんが、こんな感じでとりとめもなく映画感想文を書いたりしてみたいと思ってます。どんな感じかはひとまず読んでみてもらえればと思います。(チネアスタ管理人)

『怒り』(2016年、日本)
監督・脚本:李相日
原作:吉田修一
出演:渡辺謙、妻夫木聡、宮崎あおい、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、佐久本宝、池脇千鶴、ピエール瀧、他

ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が起こった。
窓は閉め切られ、蒸し風呂状態の現場には、「怒」のちもじが残されていた。
犯人は顔を整形し、全国に逃亡を続ける。その行方はいまだ知れず。
事件から一年後。千葉と東京と沖縄に、素性の知れない3人の男が現れた。
(公式サイトより)

圧力の強い映画

ひと言で言えば、猛烈に圧力の強い映画だ。
サスペンスの要素を強く持つストーリーは冒頭のシーンから141分にわたって緊張を強いる。
そして、旬で豪華な顔ぶれが揃った俳優陣は、喜怒哀楽を激しく、豊かに表すか、あるいはあからさまに感情を隠すようにふるまう。
アップを多用したショットは登場人物の戸惑いや怒り、悲しみをストレートに画面に反映する。ストレートだが実に強い画だ。
東京、千葉、沖縄の3つの異なるストーリーが同時進行で次々と入れ替わるのも特徴だが、それぞれでいくつかの事件を経て感情のぶつかり合いを見せるころ、まさに圧倒された。

「好演」だけではない俳優陣

実に豪華だった俳優陣だが、豪華なだけでなくそれぞれ好演が光った。
個人的には演技がそれほど好みではない俳優も複数いたが、いつもと違う演技をしていたわけでなくてもストーリーに溶け込み、静かな凄みや繊細さを見せていた。これは指揮者としての監督の力量や実直に感情をスクリーンに映し出したスタッフの技量によるところが大きいに違いない。その意味で単に好演と言うにはもったいない絶妙なアンサンブルだった。
李相日監督はインタビューで「僕の映画はとにかく<俳優が命>。キャストの方々には役を実際に生きるまで徹底して血肉化してもらいます」(劇場パンフレットより)と述べていたが、まさにそれを100%具現化した作品だった。

宮崎あおいと佐久本宝

そんな俳優陣の中でも個人的に光っていたと感じたのが愛子役の宮崎あおいと辰哉役の佐久本宝。
宮崎あおいは巧いというタイプの役者ではないと思っていたが今回は難しい役どころを繊細かつ力強く演じ切った。最も凄みを感じたシーンは「愛子だから?」のセリフのショットだった。
超豪華な顔ぶれの中で唯一?地元の劇団から抜擢されたという佐久本宝は、今最も人気のある若手女優・広瀬すずや超怪演を見せる森山未來を相手に、朴とつながらに不安や戸惑いをよく表現し、激しいシーンでは魂を剥き出しにして見せた。

ますます磨きのかかる李相日監督の表現力

6年前に今作と同じ吉田修一原作作品を映画化した『悪人』でも力を見せた李相日監督だが、今回はより複雑になったストーリーを脚本化したことも含めて、圧倒的に表現力を増したように感じた。『フラガール』を観たときにも人間をダイナミックにフィルムに刻み込むことに長けている監督だとは思っていたが、今回は8人ほどもいる主役級の俳優たちに文字通り全員が主役と言うのに十分な魂と存在感を宿らせた。撮影の笠松則通とのコンビもより熟練して力強い画作りを増してきているのは間違いない。今後もますます期待したい。
最後に、あくまで個人的な感想なので、上から目線で評価することをお許しいただきたい。

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