エミール・クストリッツァ

Емир Кустурица/Emir Kusturica

1954年、ユーゴスラビアのサラエボ(現在のボスニア・ヘルツェゴビナ)生まれの映画監督。映画の出演経験もある。自らバンドを率いての音楽活動も行う。

チェコのプラハ芸術アカデミー映像学校で映画を学び、1981年の『ドリー・ベルを憶えてる?』で長編デビュー。同作で第38回ヴェネチア国際映画祭で新人監督賞を獲得した。
2作目の『パパは、出張中!』(1985)は第38回カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを獲得し、アメリカのアカデミー賞でも外国語映画賞にノミネートされた。続く『ジプシーのとき』(1989)では、第42回カンヌ国際映画祭にて監督賞を受賞し、デビューから続けて三大映画祭での受賞するという快挙を成し遂げた。

1990年にアメリカに活動の場を移し、ジョニー・デップ主演の『アリゾナ・ドリーム』(1992)を監督。この作品は第43回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員特別賞)を受賞した。

この頃、ユーゴスラビアは崩壊しつつあり、故郷のサラエボなどでは紛争が激しさを増していた(ユーゴスラビア紛争:1991~1995)。
そんな最中、ユーゴスラビア現代史を描いた『アンダーグラウンド』(1995)を監督し、完成させた。この作品はまたしても高く評価され、第48回カンヌ国際映画祭にて2度目のパルム・ドールを獲得した。

1998年にはジプシー(ロマ)の生活を陽気に描いた『黒猫・白猫』でヴェネチア国際映画祭にて監督賞を受賞。2001年には自身のバンド「ノー・スモーキング・オーケストラ」を追ったドキュメンタリー『SUPER 8』を発表した。

その後も『ライフ・イズ・ミラクル』(2004)、『ウェディング・ベルを鳴らせ!』(2007)などを発表。
『ジプシーのとき』のオペラ公演への挑戦や、アルゼンチンの元スターサッカー選手、マラドーナのドキュメンタリーを監督するなど、活躍の場を広げている。

旧ユーゴスラビアやその周辺国の農村で暮らすジプシー(ロマ)の生活にスポットを当てる作品を数本監督しており、自由かつ感情豊かな様子を、賑やかなジプシー音楽とともに、エネルギッシュに(そしてしばしばファンタジックに)描き出している。
その音楽は自身の音楽活動にも大きな影響を与えており、同時に直接ジプシーを描いた作品以外の映画にも取り入れられ、クストリッツァ作品の大きな特徴となっている。

フィルモグラフィー(監督作一覧)

作品名 担当 製作年
ドリー・ベルを憶えてる? 監督
脚本
1981
パパは、出張中! 監督 1985
ジプシーのとき 監督
脚本
1989
アリゾナ・ドリーム 監督
脚本
1992
アンダーグラウンド 監督
脚本
1995
黒猫・白猫 監督 1998
SUPER 8 監督
製作総指揮
出演
(ドキュメンタリー)
2001
ライフ・イズ・ミラクル 監督
脚本
製作
音楽
2004
それでも生きる子供たちへ 監督
(オムニバス作品)
2005
ウェディング・ベルを鳴らせ! 監督
脚本
製作
2007
マラドーナ 監督
(ドキュメンタリー)
2008
オン・ザ・ミルキー・ロード(On the Milky Road) 監督
出演
2016