David Lynch
1946年、アメリカのモンタナ州ミズーリ生まれの映画監督。絵画などを手がける芸術家や、ミュージシャンとしての活動も活発に行なっている。
画家を目指して美術学校への入学やオーストリアへの留学をするも帰国し、1965年、ペンシルベニア美術アカデミーに入学した。短編映画を手掛けたのち、AFI(アメリカ映画協会)からの奨学金を得てロサンゼルスへ移る。ここで長編『イレイザーヘッド』(1976)を自主制作。悪夢のような奇妙な世界を描いた作品はカルト的な人気を得た。
2本目の長編となる『エレファント・マン』(1980)は、ヒューマンドラマとしても人気を得て大ヒットを記録し、アカデミー賞でも8部門にノミネートされるなど、高く評価された。
1984年には、SF大作『デューン/砂の惑星』の監督に抜擢。こちらは興行的に成功できなかったが、1986年の『ブルーベルベット』では異様で倒錯的なスリラーを披露し、アカデミー賞監督賞にノミネートされる。全米批評家協会賞では作品賞や監督賞を獲得するなど、再び高く評価された。
1990年の『ワイルド・アット・ハート』では、第43回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝き、その独特の世界観が国際的に評価されることとなった。
またこの頃(1990〜1991)、テレビドラマ『ツイン・ピークス』を手がける。
1999年にはハートウォーミングなヒューマンドラマ『ストレイト・ストーリー』を監督。主演のリチャード・ファーンズワースが数々の映画賞で受賞。2001年の『マルホランド・ドライブ』では、再びダークで幻惑的な世界観の心理サスペンスを披露し、第54回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。アカデミー賞にもノミネートされるなど、カルト的なだけではない高い評価で、異色の名匠としての存在感を確立した。
2006年には、それまでの業績に対してヴェネチア国際映画祭栄誉金獅子賞が授与された。
『イレイザーヘッド』や『インランド・エンパイア』(2006)では特に顕著だが、作品を通じて奇妙で不条理な世界を描いてきたため、カルト映画の巨匠として知られる。しかし個別の作品ではスリラーやバイオレンス、ヒューマンドラマなど、幅広い作風で力を発揮する。女優ローラ・ダーンの出演が多く、『ワイルド・アット・ハート』や『インランド・エンパイア』では主演を務めた。
もともと画家を目指していたこともあって、現在でも絵画などの芸術作品を発表しており、個展を開くなど精力的に活動している。また、音楽にも関心が深く、2011年にミュージシャンとしてデビューしている。
フィルモグラフィー(監督作一覧)
作品名 | 担当 | 製作年 |
---|---|---|
イレイザーヘッド | 監督 脚本 製作 |
1976 |
エレファント・マン | 監督 脚本 |
1980 |
デューン/砂の惑星 | 監督 脚本 |
1984 |
ブルーベルベット | 監督 脚本 |
1986 |
ワイルド・アット・ハート | 監督 脚本 |
1990 |
ツイン・ピークス-ローラ・パーマー最期の7日間 | 監督 脚本 |
1992 |
キング・オブ・フィルム/巨匠たちの60秒 | 監督 (オムニバス作品) |
1995 |
ロスト・ハイウェイ | 監督 脚本 |
1997 |
ストレイト・ストーリー | 監督 | 1999 |
マルホランド・ドライブ | 監督 脚本 製作総指揮 |
2001 |
インランド・エンパイア | 監督 脚本 撮影 製作 |
2006 |
それぞれのシネマ | 監督 (オムニバス作品) |
2007 |
デュラン・デュラン:アンステージド | 監督 (ドキュメンタリー) |
2011 |